猫背から生首まで
「美少女ビッチ りんぱちゃん」
りんぱちゃんは二十歳の女の子。真ん丸おめめに真っ黒な髪の毛、姫カットのストレートロング。好きなものは男の子とセックスとお洋服とからあげ。いつもフリルやリボンが沢山ついたお洋服を着ているけれど、毎日勝負下着を着けています。常に臨戦態勢のため、ブルマやドロワーズは履きません。そのかわり、ガーターベルトを着けています。スカートを捲った時にこれが見えると、男の子たちはそのギャップに興奮し、よりハードにりんぱちゃんの体を求めて来るようになるのです。
りんぱちゃんの特技は男の子を慰めること。心が折れたとき、傷付いたとき、男の子たちは皆りんぱちゃんの元にやってきます。
「俺はもうだめだ…」
彼女にも奥さんにも見せられない顔を、りんぱちゃんにだけ見せるのです。りんぱちゃんは男の子たちを優しく抱きしめ、ゆっくりと頭をなで、胸に顔を埋めさせたあと優しくキスをし、
「もう、大丈夫だよ」
そう言ってにっこり笑います。男の子たちには、これが一番の特効薬になることをりんぱちゃんはよく知っています。ここまで来たらあとは這い上がるだけ。男の子たちはりんぱちゃんのスカートを捲り、丹念ににおいを嗅いだあと、思い思いの方法でりんぱちゃんの中に入っていきます。りんぱちゃんはこの瞬間が一番幸せだと言います。
「誰かに求められることで私はここにいていいんだ、って感じられるの」
りんぱちゃんは若干メンヘラの気があるので、時々死にたくなったり、自分の存在意義を見つけられなくなったりします。そういうときには傷付いた男の子を誘惑して、傷の舐めあいをするのです。男の子もりんぱちゃんも結果的に幸せになれるので、この方法はとても合理的だと言えましょう。
りんぱちゃんの中で果てたあと、男の子たちはりんぱちゃんに別れを告げます。
「明日からもがんばれそうだよ」
笑って手を振り、彼女や奥さんの元へと帰っていくのです。男の子たちにはちゃんと帰る場所があります。りんぱちゃんの慰みを受けることによって落ち着きを取り戻した男の子たちは、キラキラとまぶしい笑顔を取り戻したあと、りんぱちゃんに背中を向けて去って行きます。この瞬間、りんぱちゃんは少しだけさみしくなります。りんぱちゃんには帰る場所も、帰って来てくれる誰かもいないのです。
「でもまたすぐに誰か来てくれるから」
強がったりんぱちゃんの横顔は、少しだけ震えていました。りんぱちゃんは甘えられるのは得意ですが、誰かに甘えることは苦手なようです。
今日もまた男の子が一人やってきました。死んだ魚のような目をした彼は、りんぱちゃんを見るなりその場で嘔吐しました。こんなことは初めてで、りんぱちゃんはびっくりしてしまいました。だってりんぱちゃんは誰よりも可愛く、美しく、スタイルも抜群で、包容力があり母性に満ち溢れていているのです。この世の男の子の大半はスカートを捲ったりんぱちゃんを目の前にすると、そのまま襲い掛かって無理矢理にでも入って来ようとするでしょう。でも、彼はそのような男の子たちとはどこか違うようでした。
「大丈夫ですか?」
りんぱちゃんは小鳥のような美しい声で男の子に尋ねます。男の子は何も返事をしません。その代わり、りんぱちゃんを一瞥したあとりんぱちゃんの頬を思い切り引っぱたきました。何が起こったのか、りんぱちゃんは全く理解が出来ません。
「触んな、クソビッチ」
そう言って彼は去って行きました。じんじんと痛む頬に手を当てると、りんぱちゃんの幼い頃の記憶がよみがえって来ました。行き場のない感情をりんぱちゃんで発散していたお母さんの手。理由もなく何度も何度もぶたれたことを、今この瞬間までりんぱちゃんはすっかり忘れていました。でも、彼の一撃で全て思い出してしまったのです。
りんぱちゃんにはお父さんがいません。お母さんと二人だけの家庭で育ちました。朝から晩まで働くお母さんのことをりんぱちゃんはとても尊敬していましたが、時々暴力的になるお母さんのことは嫌いでした。大好きなのに大嫌い。口の中にじんわりと広がる鉄の味が、忘れたものと思っていた記憶をどんどんどんどん引っ張り出してきます。熱湯が張られた浴槽に何度も頭を突っ込まれ息が出来なかったこと。真冬の夜のベランダに全裸で放り出され、膝を抱えてぶるぶると寒さに耐えたこと。お母さんが寝ている間に包丁を持って何度も枕元に立ったこと。脚がすくんで何も出来なかったこと。それはもう走馬灯のように、りんぱちゃんの頭の中を駆け巡っていきました。
「いやああああああああああああ!!!」
頭を抱え、りんぱちゃんは叫びます。思い出したくなんてなかった。お母さんのこと嫌いになりたくなかった。大好きなお母さん。私だけのお母さん。行かないで。みんな私の元から離れないで。さみしいよ。ひとりになんてなりたくないよ。おかあさん、おかあさん、おかあさん。
そしてりんぱちゃんは立派なメンヘラに進化しました。
次週、「まぐろちゃんの自殺教習」につづく
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プロフィール
HN:
原発牛乳
年齢:
39
性別:
女性
誕生日:
1984/09/21
職業:
おかあさん
趣味:
おひるね
自己紹介:
かわいい女の子の写真を撮ったり行き過ぎた妄想を小説にしたりしています。
名前はアレだけど別にこわい人じゃないです。
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